コラーゲンで作られている中膜が大部分
心臓から送り出された血液が通る動脈と臓器などの組織から心臓に戻る静脈があります。血管の構造は、動脈と静脈、冠動脈や毛細血管など血管の太さなど色々と違いますが、基本的には外側の外膜、平滑筋細胞からなる中膜、血管内面をおおっている内膜からなっています。血管の強度や弾力性に大きな影響を及ぼすのが、コラーゲン線維や弾性線維でできている中膜の平滑筋細胞です。血管はコラーゲンで作られている中膜が大部分ですので、コラーゲン不足は血管の老化と脆弱化につながり、血管の内膜や中膜の破損による血栓の形成や、血管の破たんによる内出血の原因になります。
コラーゲンは血液凝固のシグナル
けがをすると血が出てきますが、その内に血は固まって傷口をふさぎ止まります。これが血液凝固というものですが、たくさんの因子がかかわって連鎖的に、巧みに反応が進行し、血がたくさん流れてしまわないようにします。血液凝固の一番最初の刺激といえば、血液中にある血小板が傷口のコラーゲンと接触することです。血小板はコラーゲン線維と接触すると、細胞の遊走、増殖などに関係する因子を出します。これが血液凝固の連鎖反応のはじまりになリます。このように、血液凝固をひきおこす作用を線維状のコラーゲンはもっています。
コラーゲン製の止血材
コラーゲンの血液凝固をひきおこす反応を利用して、手術の時の止血材がつくられています。コラーゲンは体の中で分解吸収されるので、体の中に入ったままでも、もう一度手術をしてとり除く必要がないこともよい点です。商品としては、牛の皮を細く切断し粉砕した粉末状のものが開発されました。その後、もっと大きなコラーゲン線維を含む粉末状のものや、こまかい線維をかためシート状またはスポンジ状にしたものも商品化され、使われています。手術の際にかかる時間のうち、とても大きな割合を占めているのが止血にかかる時間のようです。目では分からない細い血管からの出血を止める場合に、コラーゲンの線維をぱらぱらとふりかける方法が使われているようです。また従来は、出血多量での手術の失敗例が遠因になっていることが多かったようですが、初歩的な手術ミスはコラーゲン止血剤の開発のおかげで大幅に減ったのではないかといわれています。